10月三連休に、どこに行こうか思案していたところ、2年前の3月に越百山の冬季小屋で、たまたまご一緒した諏訪山岳会のホームページに、蓼科山の東に位置する「東トキンの岩場」が紹介されていたことを思い出した。

越百山では、諏訪山岳会の方とちょうど同じくらいに雪に埋もれた冬季小屋に到着したのだが、誰かが号令をかけるわけでもないのに、着くなり、メンバーの方全員が自然にスコップを取り出し、列をつくって交代しながら入口を掘り出すさまが、とても山慣れして、いい感じだったので、山岳会たるものかくありたい、と強い印象を受けた。

紹介されていた東トキンの岩場というのは、その名前も不思議だし、単独会で整備開拓された諏訪山岳会の方に敬意を表したく、情報も少ないなか、行ってみることにした。

DAY1

前夜発で名古屋を出発。途中中央道で、同じ会の仲間の車を発見。運転しながら手を振ったが、わかってくれただろうか。

深夜に大河原峠の駐車場に着き、車中泊で仮眠をとる。標高が高いが、凍えるようなことはなかった。

翌朝に、双子山に続く林道に入り、10分ほど歩いたところから左手の笹薮に入る。入口はわかりにくいが、すぐに笹の切り開きが現れる。

笹はきれいに刈りはらわれている。どうしてかわからないが、酸性雨のモニタリングの標識があったので、これに関係しているのかもしれない。

しばらく進むと、なぜかそこだけ笹も木も生えていない斜面に出る。諏訪山岳会の方は「惑星のコル」と名付けた場所である。

ここから右下に向かって100mほど下り、トラバースしていくと、岩場が見えてきた。

下る道には、ケルンや踏み跡があった。少しわかりにくいが、何とかなるレベルである。

諏訪山岳会のHPによると、オールドジャック(5.10c)オールド(510b)、ホクト(5.10b)の3本(いずれも3ピッチ)が紹介されていて、へたれな我々はとりあえず「オールド」に登ることにした。

↓ 岩場の様子。

↓ 赤くなっている岩の小ハングをこえていくのが「オールド」1ピッチ目5.10bと思われる。

支点はグージョンボルト。小ハングを乗り越すと逆層ぎみのフェイスとなるが、フットホールドが乏しく難しく感じる。

2ピッチ目は5.9となっている。途中の簡単なところはリングボルトが打たれていた。

3ピッチ目は5.7。下降は、上部に抜けるともろいとのことなので、2回の懸垂下降で降りる。シングルロープだと足りないので、ダブルロープ使用。

懸垂では、途中の灌木にひっかからないかヒヤヒヤしたが、無事回収できほっとする。

いったん地上まで下降して、ホクト1ピッチ目(5.10b)を登った。途中コケが生えていたので、オールドの方に逃げる。次は最初登ったオールド1ピッチ目をおさらい。

岩のもろいところもあり、うすい灌木もあったりで、純粋なフリールートというよりアルパインチックなフリールートのような感じでいつもと違う緊張感があった。

この岩場はさらに奥に踏み跡が続いていたので、行ってみると、ボルトがいくつも打ってある。開拓中なのかもしれない。

岩場には、大量発生したヤスデがたくさんいて、こういうのがダメな人は発狂するかもしれないくらいいた。ヤスデは、森の分解屋さんなので益虫だと思う。そういう目で見れば一生懸命生きている愛らしい生き物に思える。

↓ 閲覧注意

この3本のルートは、グランドアップで開拓したということだ。単独の会で、こういう開拓ができる力があるということはとてもうらやましく思った。

ちなみに東トキンという変わった名前は、近くに兜巾(ときん)の岩という岩があって、そこから名付けたと思うがどうだろうか。兜巾というのは、山伏がかぶっているちいさい帽子のようなものをいうらしい。

DAY2

次の日は、山をおりて佐久志賀の岩場にむかった。

一昨年の5月以来だ。無人の詰所で管理料を払って入山。見ていたら、お金を払わずに岩場に入っていく人もいた。悲しいことだ。

10月というのに今年はまだ夏のような気候が残っていて、半袖で登れるくらいの気候だった。

この日は、ひなたエリア、一本杉エリアで遊ぶ。

横にしわの入った独特の岩の形状。傾斜はほぼ垂直なところが多いが、しわがすべてホールドとして使えるわけではないのがミソだ。

駐車場には、たくさん車が停まっていたけど、中・上級者が多いかったのか、やさしめのルートが多いエリアは空いていて、静かな森の中でたくさん登ることを目指して頑張った。

DAY3 

この日も登る予定だったが、老体にはつらくなってきたので、サブプランの山梨の日向山ハイキングに切り替え。

北杜市が「天空のビーチ」と宣伝している山だ。

話半分と思って登ったが、頂上付近は風化した花崗岩の砂礫がさらに砕かれて、砂浜のようになっている。思いのほか素晴らしい展望だった。

八ヶ岳が目の前に見え、振り返ると甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山まで見える。紅葉の時期にきたら、なお素晴らしいことだろう。

いつまでもここにいたいと思えるほどだった。頂上の「ビーチ」で1時間近くのんびりしてしまった。

↓ 尾白川渓谷の駐車場から歩いても2時間ほどの行程。カラマツの林も気持ちいい。

↓ 途中にあった観音様? 天保十二年と彫られていた。信仰の山のようだ。

↓ 山頂のようす。多くのハイカーでにぎわっていた。とても不思議な景観だった。

 

 

3日間終わって、最終日は14日なので、テンホウの日。テンホウでタンタンメン食べた。

帰りは、中央道が工事で路線規制。飯田山本から土岐付近まで渋滞につかまった。