
沢登り編)自分にあった装備を見つけよう!
暑い夏に沢のせせらぎを感じながら泳いだり滝の水を浴びたりしながら涼しく水と戯れながら山を登るというのが沢登りのイメージで楽しみ方の一つだと思います。
それにプラスして私の沢登りへの魅力は、人の手が入っていない自然で美しくも厳しくも変化する渓相と、悪絶、険絶、天下無双で逃げ場のないゴルジュや大滝という未知な世界で困難を前に「こわ~」「やば~」「これはあかんやろ~」を連発しながら自力で突破を試みるプロセスがたまらなく楽しい~
沢登りで一番アドバイスを求められるのが「ウエットスーツは必要ですか~」とよく聞かれます。恐らく前者のイメージで沢登りは水に濡れながら山行するイメージがあり、一番不安に感じるところなのでしょう。ウエットスーツは水や空気を通しにくい保温効果が高いネオプレン素材を使ったもので、体と密着したスーツの間に水を閉じ込め体温で温めることで保温するため、濡れることで保温効果が高められます。
厚さ2mmのネオプレン素材を着用したことがありますが、ごわごわして動きが制限されて疲れてしまうので、厚さ0.5mmのネオプレン素材を着用していますが薄くなったぶん保温効果は低下してしまいます。私の場合、寒い時はさらに0.5mmを重ね着したりしますが、私にとって、この装備は泳ぎ沢限定です。
普段は普通に山歩きする時に着用する格好に合羽で充分です。寒いときはズボンの下にインナーパンツとか合羽の下にフリースのシャツをプラスすれば真冬でも大丈夫です。沢登りは、始めに述べたように水と戯れるだけが目的ではないので、濡れないように遡行すればよいわけで、これも濡れ(低体温)という困難に対して回避するルートを切り開く沢登りの楽しみ方でもあります。
ただ装備の前に沢登りで必要なのは長時間慣れない場所で行動する体力と、全体を俯瞰して見る読図力と、戻る事も想定した判断力と、人工も交えた登攀力などなど他にもいっぱいありますが、今回は装備に限定してお話をしたいと思います。
沢靴って「持っていますか~」と聞くと、「沢靴は買いましたよ~」と・・・「フェルトですか~」、「ラバーですか~」と聞くと、「会で初心者はフェルトを購入するよう勧められました~」と・・・これもよくする会話のひとつです。
山登りを始めたばかりで体力的にも歩き慣れしていないし、ソーレ谷のような滑床歩きしか行かない。この先も積極的に沢登りをしないなら堅牢とした登山靴タイプでフェルトの沢靴をお勧めします。
しかし沢登りは下山時に一般の登山道を使う時もあり、ザレ場、草付き、泥、落ち葉の尾根や谷など地図に記載もない急斜面を登り下降する時もあり、遡行中は濡れた岩、苔やヌメリのある岩や滑床、ゴーロ帯や巨岩帯、沢の中を渡渉したり、泳いだり、滝をのぼったり、高巻きしたりと、歩きのシチュエーションとしても総合力が試されることになります。なのに沢靴を「フェルトの一択でええんか~」と言いたいですが、時すでに遅し「フェルトなのですね~」という事になってしまいます。
沢の楽しみ方も沢登りから渓谷登攀というスタイルに変わってきたのはラバーの沢靴の出現が大きいと聞いたことがあります。フェルトの沢靴で出来なかった登攀がラバーになって出来るようになったと、そしてフェルトの沢靴で登ってきた経験があるからこそラバーになってさらにレベルの高い登攀を可能にしていると先輩から聞いたのを思いだします。
沢靴において決してラバーを勧めているのではありません。フェルトなのかラバーなのかという会話だけでなく、どんな山行がしたいのか目標とか目的とか、そういう会話を先輩としてみてください。きっと自分にあった装備を見つける事ができると思います。N-guy