温故知新 奥穂高岳 南稜
8月31日の夜~9月2日まで、HBさんと2人で奥穂高岳南稜に行ってきました。
8月31日は、あかんだな駐車場まで。以前は夜間は入れなかったが、今は24時間入場できるようになった。車中泊で仮眠。明日は、岳沢までの行程だが、テント場がせまいので、早めに着いておきたい。
朝起きると、平日にもかかわらず、バスターミナルは結構な人出。&誰もマスクしていない。バス一台では乗り切れず2便出ていた。
でも、やはりそこは平日。上高地に着いたときは、休みの日に比べれば混雑ぶりは比較にならない。
この日はとりあえず岳沢まで行って、とりつきの偵察に行く予定。岳沢に行くのは、1年ぶりだ。
↓ 上高地のようす。暑くもなく寒くもなく。よくみると、これから登る南稜がうっすらと見える。
岳沢に行く途中、テント場の状況を聞こうと思い、すれ違った登山者に聞いてみたら、昨日テントを張っていたら、クマの声が聞こえた、ほかの幕営者もクマがいると騒いでいたので、怖くなって小屋に急遽泊まったとのこと。
小屋に着いたらやはりこんな掲示が・・・。
テントか小屋か・・・と相談するが、たぶん大丈夫じゃないか?といつもの根拠のない正常バイアスの働きで、幕営することにした。先週行ったHさんの話では、小屋すぐ近くに2張り張れるところがベストとのことだったが、すでにとられていて岳沢左岸側のの奥のテント場に幕営。
↓ 南稜の遠景。雪渓の左側のガリーを詰めてトリコニーのスカイラインに上がる。
幕営後は、ピッケルと軽アイゼンを持って、取りつきの確認に向かう。一番の心配は雪渓のようすによっては、取りつけないことだった。時期的には、もう雪渓が小さくなっていることはわかるが、今年の猛暑でどうなっているのか・・・。
しばらくは、岳沢の岩ガラガラのルンゼを歩きやすいところを適当に歩く。傾斜がそれほどないせいか、岩は比較的安定していて歩きやすい。
雪渓が近づいてきた。取りつきは右岸側なので、なるべく左側を進む。見た限り、雪渓は限りなく薄く、上に乗る気はしない。
奥に立派な柱状節理が見える。春過ぎに来ると、滝沢の大滝から水が落ちているが、今は全く水流はない。
雪渓の縁のガラ場を歩く。
残っていたスノーブリッジ。時期は早ければ、この辺りが取りつけるポイントになるのうだろう。今は絶対乗りたくない・・・。
滝沢の発達した柱状節理。古く登った記録があるそうだが、恐ろしげにみえる・・・。
初日の偵察はここまで。予想以上に雪渓が後退しており、結局雪に触れることなく、取りつけることがわかった。明日はピッケルアイゼンは置いていくことにしよう。
岳沢小屋に戻っても、することがなく、ぼんやりする。
↓ うわさの岳沢ブランコ。残念だがOSSANではバエない。日向は炎暑。少ない日陰を求めて、うだうだしてこの日は終わった。
しばらくして、小屋近くのテン場を見たら、奇跡的に1つ撤収されてたので、クマがより来ないであろう、小屋近くのテン場に急遽引っ越しした。下界も猛暑で、岳沢も夜の冷え込みなし。
2日目。
前日に、もう1パーティー南稜に行くとわかったので、落石を避ける意味でも先にとりつこうと、4時に出発。
月明りもあり、昨日の偵察を活かしてガラ場を進む。5時前に取りつきに着いたが、さすがに暗く、しばし明るくなるのを待った。
薄明の中、雪渓が不気味に口を開けている。
明るくなったころを見計らって出発。浮石の多いガラ場を慎重に進むと。最初の滝に新旧のハーケンを見つけた。
ここからは、適当に源頭を詰めていくような感じで登っていく。もう一か所岩場(上の滝)があったが、ロープを出すことなく登って行けた(結局全行程を通じてロープは出さなかった。)
記録にある三股に分かれる分岐。最初は中央のルンゼを詰めて壁にあたってから右に移動する予定だったが、結局右の踏み跡をたどり尾根に出た。記録では「藪漕ぎがひどい」などと書いてあるものもあったが、それほどでもなく踏み跡も割としっかりしていた(ただし、全行程通じてテープやペイントなどは一切ない)。
ブッシュ帯を抜けたところ。ここからは周囲の遠望が効くようになる。
あとは、リッジをたどっていく。ピナクルを右からまくか、左からまくか、ルートファインディングしながらの登攀になる。
岩は比較的堅く安定しているが、時々動く岩もあるので不用意に持てない。
とはいえ、周囲に名だたる山を見ながら楽しい登りになる。
一か所懸垂下降かクライムダウンかする箇所があり、クライムダウンしたが、大きな岩がはがれそうになり、ビビった。
明神岳の向こうに富士山が見えてきた。なんだか周囲の山が近くに見える。
傾斜が落ちたところで、はじめてゆっくりと休憩。自分たち以外に誰もいない。気持ちがいいところだ。
南稜の頭についてから奥穂に向かう。奥穂にはたくさんの人がいた。
写真を撮るのも順番待ち。数人で来ていても、一人づつ写真におさまる人が多い。なぜだろう。
吊尾根から涸沢側をのぞく。涸沢はまだこの時間テントは少なかった。去年登った北尾根のスカイラインが美しい。
あとは、紀美子平を通って岳沢に下りるだけ。だんだん暑くなってきた。重太郎新道は、岳沢小屋が見えてからが長かった。
岳沢からは痛み出した膝をだましだまし上高地まで下りた。上高地は土曜の午後3時ごろ。人でごった返していた。
以前は5月の連休に春合宿で南稜を登ったが、無雪期の南稜は今回初めて。
1912年8月に、ウォルター・ウェストンと上條嘉門次により南稜から初登されたと言われている。
このときウェストンは51歳。嘉門次は65歳だったらしい。下降は、奥穂からは扇沢を下降して、岳沢に戻っている。上高地から往復10時間で。おそらく嘉門次はわらじ。その健脚やおそるべし。
またウェストンの記録を読んでみようと思う。
山行データ 1日目
山名・山域 | 奥穂高岳 |
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山行ルート | 登り 南稜 下り重太郎新道 |
日付 | 2022.09.01~2 |
所要時間 | 南稜 登り4時間40分 |
山行人数 | 2人 |
天候 | 晴ときどき曇り |
山行記録 | 1日目 7:00 上高地 9:15 岳沢 10:30~11:30 とりつき偵察 2日目 4:00 岳沢 5:00 とりつき 5:30 三股 8;40 南稜頭 8:50 奥穂高岳 12:10 岳沢 14:45 上高地BT |
備考 | 雪渓には乗ることなし。ロープは未使用。使ったとしても30mで可。アプローチシューズ使用。 |