
自身の実力を把握する大切さ
参考になった文献:「せっかく来たんだから」は要注意。登山に必要な○○を決める勇気 | YAMA HACK[ヤマハック]
山行の目的を最後まで完結できず、途中で中止して引き返すことを「敗退」とか「撤退」と表現していると思いますが、この言葉をよく耳にする事が多く、あまりにも普段の山行で普通に簡単に使われている気がして安心安全に対して不安を感じることがあります。無事に下山するために大切な行動だとは思いますが、撤退や敗退を「山は逃げない」とか「引き返す勇気」などといった現実を言葉で美化する表現と同等に使われているように感じるときがあります。
敗退や撤退のポイントが計画段階で気づけず、行動中に対応できない想定外なことが起こってしまう敗退や撤退は、たまたま戻ることができれば「遭難ヒヤリ」で済みますが、戻れなけらば「遭難」という事になります。また計画段階から敗退や撤退のポイントを決めて遭難ヒヤリの前に安全に戻ることができたとしても、その山行には敗退や撤退の判断を間違うリスクがあった事を理解したうえで計画や行動を振り返り、次の山行に活かしていくべきではないでしょうか。
山行を計画する時は、自分の実力に対して想定内として、どれだけ事前に準備をしリスクを理解できているかという所が重要で、数回の勉強会や数回の訓練の経験だけで、変化する自然を相手にあらゆる想定外なリスクに対して自分の実力を把握できるものではありませんし、これらの技術的な知識は、会活動などを通じて定期的に行われている勉強会や訓練へ積極的に参加をし、なによりも日々の山行が重要で、しっかりとステップを踏んで経験を積んでいかなければなりません。
たとえば私自身の例として沢登りにおいて自分の実力を把握するという点においては、歩荷なども含めた一般の登山に必要な技術全般は当然ながら、高巻きや草付きやガレ場の通過なども含めた沢登りの歩行技術、服を着用した状態や荷をかついだ状態での泳ぎや渡渉のロープワークや渡渉時のパーティ行動も含めた渡渉技術、ルーファイやナチュラルプロテクションでの支点構築や人工の技術なども含めた登攀技術、濡れによる身体への影響やテント泊とビバークの違いやビバーク時のパーティ行動なども含めた谷中泊の技術などなど、勉強会や訓練だけでは身につける事ができない事はたくさんあり、今でも日々の山行を通じて経験を積み続け、けっして完成形はありません。
最近、会の新人メンバーがベテランメンバーを含めて、身近な山域からしっかりと歩く日々の山行を計画し実行している姿をみてたくましく感じ、自分自身も中途半端な山行をやってはいけないという気持ちと、頑張っているメンバーへ微力ながら力になれることがないか考えることが多くなり、今の山岳会に入って良かったと感じています。自身の考え方を振り返るきっかけとなる刺激を感じさせてくれているメンバーへ感謝の気持ちを忘れないようしたいと思います。「ありがとうございます!」N-guy