20/05
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今回のぢをめもは、みんなのお友だち「御在所」を取り上げるよ!

「御在所」といえば、花崗岩ですね。藤内壁には大きくて立派な壁があるし、中道には不思議な造形の岩たちがたくさんあるし、お山全体が花崗岩だらけ。これらの花崗岩はどうやって今の姿になったんでしょう?

 

話は長くなるのじゃが、まあ聞いておくれ。

 

御在所の花崗岩は、白亜紀後期(約8,000万年前)に、基盤の岩(「美濃帯」っていうんだけど、長くなるから説明省略)に貫入した「鈴鹿花崗岩」と呼ばれているもののようです(この花崗岩自体は「領家帯」に属するけど、長くなるから説明省略)。この頃、日本列島はまだ大陸の端っこにくっついていたよ。

その後日本列島がいまの位置に落ち着いてから色々あったんだけど話が終わらんくなるから省略して、西日本では土地の活動にしばらく安定が続いた時期がありました。その安定期に、土地の凸凹が風雨でどんどん削られて、起伏の小さい平原っぽくなりました(こういうのを「準平原」といいます)。

でも第四期(約300万年前)になると、日本列島で東西の圧縮が強まって、いまの鈴鹿山脈の東西の両縁にある断層が活動して土地が隆起し、山脈が出来ました。そのときに、地下にあった花崗岩もぶわっと地表近くまで隆起したり、勢い余って地表に出ちゃった子もいたのかな?(←ここは想像)

なお、藤原岳など頂上付近が平坦なお山がありますが、これは準平原の名残りだそうです。

また、東縁の断層(一志断層系)の方が、西縁の断層よりも累積的に大きく動いてきたので、東側が立って西側にやや緩傾斜する山脈となってます(こういうのを「傾動地塊」といいます)。東側にある御在所や鎌ケ岳などが険しい形状なのに対して、西側にある綿向山などが緩やかな形状なのは、こういった理由があるんだね。

 

さて、御在所の花崗岩に戻ります。御在所は標高1,000m以上ありそこそこ大きさがある山なので、”御在所の花崗岩”と一口に言っても、色々あるようです。

まず、標高が低いところにある花崗岩と高いところにある花崗岩とでは組成構造が違うようです。

おおざっぱに言えば、こんな感じらしいです。
・標高が高いところにあるのは、粒が細かくて等粒状の花崗岩、
・標高が中くらいのところにあるのは、中くらいの粒でやや斑状の花崗岩、
・標高が低いところにあるのは、粒が粗くて斑状の花崗岩
(参考「御在所山地域の地質」https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_11030_1989_D.pdf

標高が高い藤内壁は、粒が細かくて等粒状の花崗岩で、ほかのに比べて風化や浸食に対する抵抗力がやや強いため、一壁や中尾根バットレスなどの大きな壁ができてるみたい。
    

 

また、節理の密度も、尾根上の花崗岩と谷筋の花崗岩では違いがあるみたいです。
・尾根上にあるのは、密度が小さい(節理が粗)、
・谷筋にあるのは、密度が大きい(節理が密)
(参考「鈴鹿山脈の地形学的研究」)

尾根といえば、前尾根は岩塔が連なってるし、中道の尾根上にもそこかしこに岩塔が見られます。
こういうのを「トア」といって、「コアストーン」と出来かたはだいたい同じ。

「コアストーン」のところで説明したように、花崗岩は風化しやすいですが、節理が粗だったり岩体強度が大きい部分が風化に耐えてそのまま岩塊として残ると、「コアストーン」や「トア」になるそうです。

「コアストーン」はごろんと出てくるイメージで、「トア」は背の高いのが地からにょきっと生えてるイメージかな?

(「トア」に登って喜ぶヒト↓)

トア彫刻コレクション

 

ちなみに、地蔵岩やゆるぎ岩などのびみょーなバランスで重なり合っている岩がどうやってできるかは、こちらに詳しく解説されています。

「地蔵岩」のでき方
 (引用)『これは花崗岩という岩石で、地下でマグマが冷えて固まった岩石です。それが出来たのは約8000万年前です。その後まわりが侵食されながら隆起。花崗岩は冷えて固まる時に収縮するので割れ目ができ、さらに上昇していった時に上からの荷重がなくなり上に伸びる。それによって水平な割れ目ができた。そして、もともと花崗岩が地表にあがる前にもっていた割れ目にそってまわりがなくなって、奇跡的に残っている。その岩の一部が回転して、上にのるようなかたちになったと考えられます。』

・「ゆるぎ岩」のでき方
 https://www.waseda.jp/sem-mylonite55/yurugi_iwa.pdf

へえぇ~、なるほど~!

いやー 自然ってすごいですね。

 

はるか昔にできた岩さんたち。調べてみるとなかなかおもろいです。
大切に登らせてもらいましょう。

※専門家でないので間違いがあったらごめんなさい!
 間違いに気づいた方は、お手数ですが、山岳会のお問合せフォームからお知らせください~