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登山は自己責任で行うのが大原則です。そこで地図読みのキーワードから自己責任について考えてみたいと思います。

一般登山道では、距離と時間がわかる山と高原地図や携帯の地図アプリで現在地が分かれば充分に事足りると思っています。バリエーション山行では、等高線の幅から斜度を想像し、地図記号からハイマツ帯の藪藪を想像し、どの尾根や谷から登り下れば①に安全に②に最短で登り下山できるかを地図を広範囲に俯瞰して見て読み解かなければなりません。さらに地図に現れないピークや谷、支尾根がたくさん現れ、地図では想像できない藪や崖に進退極まってしまう事も多々あり、そのたびにルートの見直しが迫られます。

一般登山道での下山は、ほっと一息、「やれやれ」という感じですが、バリエーション山行となると、とても楽しくお喋りをしながら登り下山という余裕はありません。現在地を見失った瞬間、道迷いの状況に陥ってしまうので、登りも下山も緊張を強いられます。ですので、携帯GPSで現在地を確認し、等高線が読める1/25000地図で広範囲を俯瞰してルートを読み解くという作業を何度も繰り返しながら登り下山します。上手く登り下山できてから、ようやく「やれやれ生還できた!」という安堵と大きい達成感を感じる事ができます。

しかしバリエーション山行であるのに、一度も地図で現在地を確認しない。さらには地図を持っていない。等高線が読めない1/50000の山と高原地図しか持っていない。小範囲しか見ることができない携帯の地図アプリしか持ち合わせていない。というメンバーがいたとすると、そのパーティーの安心安全の力量は計画段階よりも低下していると思って間違いないと思います。一般登山道でも道迷いするリスクを考えると地図読みはできた方が良いというよりも、できるように努力すべきではないでしょうか。日ごろの山行を通じて、または事前に講習や訓練山行を通じて、また山岳会の例会にて、山行計画や山行報告、過去の事故事例など、地図読みに関する学びはたくさんあります。個人の危機意識の差がパーティーの総合力を大きく左右することを理解すれば、自ずと行動へ現れてくると思います。その先に初めて、自己責任という言葉がパーティー共通の言葉として、同じ思い、同じ内容で考えることができるようになってくるのではと思います。N-guy