山岳会は学習環境を提供してくれる場
あけましておめでとうございます。今年も若駒山岳会をよろしくお願いします。
会の遭難対策部を担当していますN-guyです。昨年は残念ながら、県連の仲間から釈迦ヶ岳で下山時刻を過ぎても下山せず、大掛かりな捜索にもかかわらず、未だ発見に至っていない遭難事故を発生させてしまいました。また、幸いにも大事には至りませんでしたが、県連の教育山行で滑落事故を発生させてしまい遭難救助していただくに至りました。その他にも登山コースでの転倒や滑落などの事故を毎月のように報告を受けています。身近な所で山岳事故や遭難を発生させてしまっている状況に対し我が会としても他人事ではありません。
登山を安全に楽しく活動するには、登山に対する技能や知識や体力など多岐にわたる能力が求められます。それらを組織に所属して学び、自立した登山者を育成していく事が山岳会に所属する一番の意義だと思っています。しかし、現在の多様な考え方が尊重される時代において、登山情報がSNSや紙媒体を通じて至る所で容易に入手できる環境が整う中で自力で活動ができるようになり、自分のペースで登山を楽しむスタイルが増えているように感じます。かつてのような山岳会として育成の場というよりは社会人サークル的な場として捉え、山岳会の門を叩く方が増えたように思います。
そして誰と、もしくは、どのようなメンバーで何処へ、どのような山行を目指すというよりも、クライミングをやりたい人この指とまれ的な感覚で、集団の一員としてではなく、集団に属しながらも個人の趣味としてパートナーやメンバーを募り、今よりも難しい場所へ行く行為そのものをレベルアップと捉えられているように感じることが多々あります。かつて私の知る山岳会のレベルアップとは、経験を積みたい想いを持って先輩の山行へ同行させてもう。そして先輩の姿を見て自分の学びを得る。自分の得た学びを次の山行で試す。この繰り返しが自身のレベルアップに繋がっていったと思います。なので、何ら問題なく楽しい山行だったという振り返りしか出来なかった時は山行の目的を果たせなかったと反省したものです。そして自身がリーダーとして後輩を連れていき自分の経験を後輩へ引き継ぐ。この繰り返しがさらに自身のレベルアップに繋がり、会として自立した登山者を育成していくのだと思っています。
山岳会の熟練者が高年齢化により受入れ体制が不十分であったり、学習環境を提供する場を求めて山岳会の門を叩く方が減り、山岳会へ対する目的が、自立した登山者でなく、自身の山行を楽しみたいというような、かつてのような山岳会としての意義や機能に限界を感じつつ試行錯誤しながら活動しているのが正直なところです。
今年は会活動を通じて安心安全について山岳会の意義や機能について考えていきたいと思います。今年もよろしくお願いします。N-guy